3A214
夕方、だいたい決まった時間になると部屋の外から私の好きな歌手の歌が流れてくる。
かなりの大音量だから、誰かのカーステレオが通り過ぎていくのかな、と思っていたが
今日の歌は、かなり私の好きな歌でもあり、またアルバムのなかの一曲という、あまり有名な歌でもなかったので
どんな人が聴いているのか気になり、窓の外を覗いてみた。
外を見下ろそう(私はマンションの3階に住んでいる)として驚いた。
見知らぬ男がスピーカーを持って、下の道ではなく同じ階の廊下で私の部屋の、台所の窓に向けてその歌を流していたのだ。
じっと身を潜め
どのくらいだろうか、音は止み、窓の外をひっそり見ると男は同じ階の吹き抜けを四角く囲むように縁取られた廊下の向こう側にぐるりと進み、途中T字になっている角を曲がって行ってしまった。
窓を開けたまま、もう身を隠すこともなく、男の消えたT字の角の見えない先を見るとも無しに立っていると、今度は
小学生低学年から下くらいの子供たち3人がやって来た。兄弟の様である。
子供らしく3人騒がしく楽しそうにはしゃいでいる姿から、
あぁ、今は夏休みなんだと、しかし8月もそろそろ終わるのだなと思いだす。
子供たちは台所の窓の外から私を見つけ、人見知りもせず、まだ楽しそうに何か話しかけてくる。
不意に母親らしい女が乳母車を押して立っていた。
「Sといいます。騒がしくてすみません。」と私に謝りながら子供たちをたしなめるが
「マンションの宝探しをしよう」と彼らは盛り上がっている。
気づくと私の台所の窓の外のちょっとした隙間に小さな焼き物の動物が置かれている。(私はどうしてもこの動物が何であったか思い出せない)
聞くとその動物の中に小さなメダルが入っているという。
子供たちは私の台所の窓に置かれた動物を手に取ると掌に何回か振りかざす。
すると本当に小さな焼き物の動物の口からさらに小さなメダルが何枚か出てきた。
「ここのマンションのどの家の窓にも置かれているんだよ」と子供たちは教えてくれる。
左斜め前の部屋の窓をみると、なるほど小さな焼き物が置かれていた。それは一対のシーサーのようであった。
「あそこの家は双子のお子さんがいますから」今度は母親が教えてくれた。
双子の子供の家だから、一対の置物か。と私は納得した。
「誰か大人が子供たちを楽しませようとして、からかい半分こんなことしているんでしょう。」と母親は云った。
「いや、サンタクロースもいるんだし、夢は持ちたいですね。」
答えた私の言葉を繰り返す母親は急に不機嫌になり、乳母車を押して
先ほどの男と同じように吹き抜けを縁取った廊下の向こう側を、しかしT字の角は曲がることなく早足で(多分)帰っていった。
そのあとを子供たちが、まだ騒がしくついていく。
私は窓から覗き込むように母親の姿を追うと
吹き抜けの向こう側
【3A214】
と書かれたドアの中に入っていった。
たぶん乳母車の中には誰も乗っていなかっただろう。
さて、と私は外に出ようとドアを開ける。
すると、右斜め前の部屋のドアも今し方開いて少し小柄だが締まった体型の男が出てきた。お互いに気まずさを感じていると(私はなるほど、プライバシーのために互い違いにドアがあるのだなと感心しながら)、さらに今度は少し肉付きのいい体型の男が追いかけるように出てきた。
私を見ると、こちらの男もびっくりしたようであったが、すぐに薄い笑顔になった。私はなぜかこの男は地顔が笑顔なのだと気づいていた。
「僕たち付き合っているんです。」少し小柄な男が云った。
もうひと部屋借りているんです。と続けると歩きだし、私の部屋の2つ程隣のドアを開けて入っていった。薄い笑顔の男も後に続き、私も廊下を歩きつつ(一人になりたい時には、ふた部屋あれば便利だなぁとこれまた感心しながら)部屋の前まで来る。
部屋の中はたくさんの服が、店のようにハンガーに掛けられたり棚にきちんと畳まれていた。
そういえば数日前にたくさんの段ボール箱とそこから溢れる洋服が積まれているのを見たことを思い出す。
薄い笑顔の男は部屋の奥から蝋ひき紐を持ってきて、いつの間にか私の手首に綺麗に編んだリングをつくり着けてくれていた。
外はすっかり暗くなっているだろう。
振り返るとエレベーターがあったが少しまだ知らないこのマンションを見て回ろうと歩きだす。
しかしこのマンションは室内廊下とはいえカーペットが敷かれ、まるでホテルのようであることは、先ほど部屋を出た時から感じていた。
1階の中庭から吹き抜けた周りを縁取った廊下の角までくると右に曲がる。
少し幅広のフロアになり、左手に4機のエレベーター、右手は吹き抜けに胸の高さくらいのガラス張りの手すり。その前に初老の護衛が一人立っていた。
すっかり暗くなったフロアに護衛は溶け込み蝋人形のようである。
ふいに暗いフロアの背後から、
私は振り向く。
女が刃物を持って叫んでいる。少しずつ近づいてくる。
「裏山に男が埋めれていた。」
護衛が女に続けて告げた。
「Sの父親だ。」
刃物の女は、さらに取り乱し引き換えしていった。
私は、なんとか外にでなければ。と4機のエレベーターを見る。
左から2機はすでに壊されていた。
私は手前のエレベーターにかけ込む。
ボタンは
32、31、4階
と明かりが点いていた。
とエレベーターの中に入り確認したところで
護衛が私の、エレベーターの開閉ボタンを押そうとしたその腕を掴み、注射器で何かを打った。
倒れた私は、目が閉じる前にエレベーター内に4人の女が倒れているのを見た。
夢だ。と目が覚める。窓の外を見ると樹々は黒く影になり隙間に濃い青い夕方の空、いつもとだいたい決まった時間だった。
9月の空とリカちゃん
爽やか~な9月の空
彼岸花とリカちゃん
2年くらい前にお迎えした
お人形教室のリカちゃん
この時はグリーン系の瞳のリカちゃんを何人かお迎えしました。
去年かな?まったく同じ洋服(着たきり!ごめんね、、、)ですが
写真を撮ってみたけれど
今回もやっぱり!難しい~
実際のこのこは何倍も、もっともっと可愛いんですよ~
深緑の瞳がお気に入りです。
新しい洋服もつくって
必ず!再チャレンジするからね!!
(きせかえ待ちのこ達がまだまだいるから、もう少し待っててね、、、)
9月の午後
HANONさんの今年出版された
DOLL SEWING BOOK arrangement
本に書かれていられるように
見ごろ、襟、袖、裾など
いくつかのパターンがあり、いろいろ組み合わせることで
それはもう、コーディネイトが無限に広がる
『こんな贅沢な型紙が掲載されているドール本、ほんとにいいの?』
な太っ腹な内容です。
誰にどんな感じで~と想像するだけで楽しい時間です。
何着か作ってみましたが、自分がイメージした以上に着こなしてくれていて嬉しくなります。
自分の作った服の自画自賛じゃなくて、この本の素晴らしさが自分の想像以上の効果をもたらしてくれているんじゃないかなぁと。
読書の秋
先取りのリカちゃん
特に寝る前に
このこにはどんな感じで~こんな感じは?、、、と考えているときが楽しいです。
晩夏の緑
同時進行でつくっていたHANONさんの手芸倶楽部キットの一着。
HANONファブリック仕様ver.です。
生地の色合いや絵柄からデザイン、
世界観がとても素晴らしく大好きです。
オリジナルコレクションモデルのリカちゃん
名古屋丸栄のリカちゃんキャッスルのイベントで公開された
リカちゃんキャッスルオリジナルコレクションDX
どのモデルのこも繊細で可憐な可愛さがありました。
夏の昼下がりのガーデンパーティがテーマだったような。。。
今日はとても涼しい風が吹いていました。
今年の夏は
もう終ってしまったのでしょうか。
湖とリカちゃん
今日はこのあと、夕方から雨が降ってきました。
HANONさんの手芸倶楽部キットから
今回は2着同時進行でチクチク
そのうちの1着です。
湖の水は綺麗で湖面の空気も爽やかでした。
リカちゃん『ドキドキ、、、(硬直、、)』